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「知的財産経営」や「知的資産経営」の支援活動が活発化
実践事例,中小企業向け手引き書などが相次ぐ
[2007/05/01]


図1
 企業における「知的財産経営」や「知的資産経営」の実現を支援する取り組みが活発化してきた。具体的には,人材育成を通じてこれらの実現を支援する知財スキル標準(IPSS)を経済産業省知的財産政策室が,中小企業に知的資産経営を導入するための手引き「中小企業のための知的資産経営マニュアル」を中小企業基板整備機構がいずれも2007年3月に発表,さらに,先進事例を紹介することで知的財産経営の実施を促す「知財で元気な企業2007」を特許庁が続く4月18日の「発明の日」に発表した。

 特許・意匠などの知的財産や,これにブランドなどを加えた知的資産を経営に生かして収益増加や企業価値増大に結び付ける活動である「知的財産経営」や「知的資産経営」が政府・企業の両者から注目を集めている。しかし,これらを企業の中で実現するためのハードルは高く,実践できているのは知的財産や知的資産に先進的な一部の大手企業に留まっている。実際,知財Awareness・CIPOフォーラムが実施したアンケート調査でも,回答者の89%が「知的財産経営」やその実践を推進する役職である「CIPO(chief intellectual property officer)」の重要性を認めつつも,実際に日本企業に知財経営が浸透しているかという問いに対しては82%が否定的な回答だった。
 特に中小企業において知的財産経営や知的資産経営の実施は難しい。これらを実践するためには経営と知的財産・知的資産の両方を理解し,一元的かつ効果的な戦略を構築する必要があるが,中小企業では,経営責任が集中する社長に知的財産や知的資産に心を砕く余裕がなく,社内に知的財産や知的資産に関する人的リソースも乏しい。結果として,中小企業での知的財産経営や知的資産経営の実践は困難を極める。今回の各種支援は,独自の技術や有能な人材を奇貨とする中小企業の効率的な知的資産経営に有効であり,これからベンチャーを起業しようとする大学の研究者などにも非常に有効である。
 このような状況を打破するために一助として,中小企業基板整備機構がまとめたのが「中小企業のための知的資産経営マニュアル」である。本マニュアルは,同機構理事長の村本孜氏を委員長とし,各界の有識者から編成された「中小企業知的資産経営研究会」で検討された内容に基づいて編さんされた。知的資産経営の推進や知的資産経営報告書を作成するためのノウハウをわかりやすくまとめており,(1)知識編,(2)実践編,(3)モデル企業実例編,(4)巻末,の4部構成になっている。
 知識編では,知的資産と知的資産経営の重要性について詳細に解説し,知的資産を経営に資している先進事例として17社を紹介している。実践編では,自社に知的資産経営を導入するためのSWOT(strength, weakness, opportunity, threat)分析からはじまる「知的資産の棚卸」,「ストーリー化」,「みえる化」,「みせる化」を解説している。経営者は自社の情報をこのスキームに落とし込むことにより,知的資産報告書が作成できる。モデル企業実例編では,実践編で示したスキームを使い,実際に4社の経営者が中小企業診断士や弁理士などとともに知的資産経営報告書を作成するまでの過程を事例として紹介している。巻末には,弁護士や中小企業診断士に代表される中小企業の支援者が,それぞれの立場から知的資産経営報告書の作成支援のためのアドバイスをまとめた作成支援ガイドが載っている。
 一方特許庁が発表した「知財で元気な企業2007」は,知的資産を有効に活用している全国110社の先進的な取り組みを分かりやすく紹介したものである。同庁が4月4日に公表した「知財戦略事例集」と併用することで知財経営が促進されることを期待している。(詳しくはこちら

ダウンロードはこちらから
「中小企業のための知的資産経営マニュアル」
http://www.smrj.go.jp/keiei/chitekishisan/index.html

「知財で元気な企業2007」
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/hiroba/chizai_genki_2007.htm

「知財戦略事例集」
http://www.jpo.go.jp/torikumi/puresu/puresu_chiteki_keieiryoku.htm


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