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連載企画(2) 知財経営とCIPO 第1回
「知財経営の時代」が本格到来 − CIPOが求められる背景
[2006/06/30]

 企業において,知的財産を経営に生かして収益増加や企業価値増大に結び付けようとする動きが活発化しており,その責任者として「CIPO(chief intellectual property officer)」という役職に注目が集まっている。日本政府の知的財産戦略本部が2006年6月にまとめた「知的財産推進計画2006」では,知的財産経営推進のためにCIPOの設置を提案(関連記事)しており,知財先進企業を中心に複数の企業がCIPOを設置し始めた。

“真の知財経営”の体現者
 知財を中心とした無形資産を世界的に重視する方向になっており,日本においても「知的財産立国」の実現に向けて各種制度の整備が進んでいる。このような流れの中,プロパテントの強化,知財報告書の作成,知的財産活用の強化策を打ち出す企業が相次いでいる。ただし,内情が伴っていない企業も多い。知財経営の本質は「知財を生かして事業を盛り立てる企業経営」(キヤノン顧問の丸島儀一氏)。しかし,実際には「知財自体のマネジメント」に留まっている企業が少なくない。この原因は,経営や事業に基づいた視点から知財を認識した,大局的な戦略を立案できていないためである。
 すなわち,“知財を生かした経営”もしくは“経営を意識した知財戦略”を実現するためには,知財の専門知識だけを理解した知財担当者が立案できる従来型の知財戦略(知財自体のマネジメント)では不十分である。知財を経営視点から知財をとらえ直し,経営と知財を密接にリンクさせた形で知財経営戦略を立案する必要がある。このためには経営と知財の両方に精通し,一貫性を持った戦略を立てることができる人材が必要になる。この責任者として企業の中にCIPOを設置する動きが活発化してきたのである。
 例えば,CIPOという名称こそ使っていないが,キヤノンの専務取締役,法務本部長,製品法務推進室長である田中信義氏を「理想的なCIPO像に最も近い」と指摘する声は多い。さらに,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.はCIPOに極めて近い役職としてCPO(chief patent officer)を導入済みである(関連記事)。さらに,複数の企業がCIPOをすでに導入したり,導入に向けた準備を進めたりしている。ただし,このCIPOが果たすべき具体的な役割に関しては「明確に定義されていない」(西村ときわ法律事務所や三好内外国特許事務所)のが現状である。海外においても「ボード・メンバーに知財の責任者がいることは多いが,CIPOという役職そのもの設置しているところは少ない」(モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所)。今後,CIPO像の明確化とそのような人材の登場が,企業が本格的な知財経営を実践するためのカギになりそうだ。


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